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歯医者がオススメ!入れ歯安定剤の比較。選び方&手順。ゆるい部分入れ歯や総入れ歯は人気のポリグリップを付けてほしい!

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こんにちは

歯科医のしろたぬです

入れ歯(義歯)、歯周病、飲み込みの治療が専門です


この記事にたどり着いたあなたは

入れ歯が合わない悩みを抱えていませんか?

  • ゆるい
  • ガタつく
  • 落ちてくる
  • 話しにくい
  • 食べにくい

入れ歯を使っている患者さんの年齢はとても幅広く

実は早い人だと40代から入れ歯を使っています


高齢の患者さんや介護の必要な患者さんですと

9割の方が入れ歯を使っています


残念なことに入れ歯には色々なトラブルが起こります





上の入れ歯はゆるくなると落ちてきますし

下の入れ歯は外れやすくなります


安定しない入れ歯を使っていると話しにくいです

噛めない入れ歯は食事を美味しく食べることができませんよね



合わない入れ歯はそれだけでストレスがたまります



そんなときに役立つものがあります

それは入れ歯安定剤です

その名の通り、入れ歯を安定させるために歯ぐきと入れ歯を粘着させる糊(のり)のようなものです



実をいうと、入れ歯安定剤を使うことは歯科業界においてタブーとされています


何故なら歯ぐきに悪いから、ということなんですが

患者が来なくなると商売にならない

っていうのが大きい理由なんですよね


・何度も調整したけど合わない

・色々な歯医者に通ってみたけどよくならない

・歯医者に通えない

患者さんはひとりひとりに色々な事情があって

安定剤にたどりついているのです


もし安定剤ひとつでその人の生活が豊かになるのであれば

どんどん使うべきだとボクは思います




さて入れ歯安定剤には色々な種類があります

そのなかで一番使われている商品がポリグリップです

TVのCMで知っている人もいるのではないでしょうか


入れ歯洗浄剤であるポリデントの方が有名かもしれません



ポリグリップは正しく使えばとても便利で快適なものです

今回はポリグリップを使うメリット、デメリット、他の商品との比較、正しい使い方
を全て紹介します。

入れ歯が「合わない」「痛い」「ゆるい」

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入れ歯(義歯)を使っている患者さんには

必ずといっていいほど

入れ歯があわない

という悩みを抱えています

全員といっても過言ではありません

痛い入れ歯は噛めないと同じ

入れ歯が歯ぐきや自分の残っている歯に強く当たってしまうと痛みがでます

痛みのある入れ歯はしっかり噛むことができません

なにより快適に食事をすることができません

上の入れ歯は落ちてきて下の入れ歯は踊リ出す

ゆるい、つまり外れる入れ歯は安定しません。

口の中で落下するとまるで入れ歯を食べているようにみえます

喋りにくく、この状態ではそもそもうまく噛むことができません

カラオケで歌うと漫画のように外に飛び出してしまうこともあります

入れ歯安定剤(=義歯安定剤)は便利で快適なもの


このように歯ぐきや顎の骨は歳とともに少しずつ痩せてきて

徐々に入れ歯が「合わなく」なってきます


そして入れ歯が合わなくなった患者さんの多くは

入れ歯安定剤(=義歯安定剤)

を使用します。

自分に合った入れ歯安定剤を使えば、入れ歯はもっと快適な道具になります



ポリグリップが人気の理由!使うメリット7つ

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①部分入れ歯も総入れ歯もどちらでも使用可能

留め具やバネの金属がついている部分入れ歯と、総入れ歯の両方に同じように使うことができます

保険の入れ歯にも、保険外の入れ歯でも使用できます

差し歯にはくっつきません

②接着して安定する!

ゆるく外れるような入れ歯にも顎に粘着します

グラつきをおさえ、接着効果が持続します

③クッションになり痛みが改善する!

歯ぐきと入れ歯の間につけるため、痛む場所に刺激が伝わりにくくなります

歯ぐきを守るクッションのような効果があります

④物がはさまらない!

歯ぐきと入れ歯の隙間を埋めることで、食べ物や薬がつまりにくくなります

歯ぐきや顎は年々痩せてしまう分、効果は大きくなります

⑤話しやすくなる!

口のなかで入れ歯が踊らないので、発音がしやすくなします

落ちにくい入れ歯は快適に話をすることができます

⑥噛める!

噛む力(咀嚼力)があがります

しっかり咀嚼することで胃腸への負担も減少します

⑦強力!粘着の持続時間が丸1日!

慣れてくると1日中使うことができます

朝つけて夜寝る前まで終日使用することができます




デメリットは?気をつけたい注意点5つ

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❶ベタベタして気持ち悪い

最大の欠点かもしれません。粘着力が高いため、どうしてもベタベタしてしまいます

入れ歯を安定することができるとはいえ口の中でつかうものですから、余計に不快に感じる人が多いです

安定剤をしっかり掃除することが重要になってきます

❷まずい

ポリグリップは温かいと溶けてしまいます

60℃だと溶けてしまうので、食事中に少しづつ溶け出してしまいます

口の中にはみ出すくらいの量をつけて装着すると、口の中にしみだしてしまいます

味は苦く、とても美味しものではありません

自分にとっての適量を見つけると快適に使用できます

❸歯ぐきがやせる

長時間使うと、将来的に歯ぐきがやせてしまいます

寝るときははずして歯ぐきを休めることが大切です

❹かゆみやかぶれ、発疹を起こす可能性がある

使っている化学薬品でアレルギーのような過敏反応がおこることがあります

このときは使用を中止してください

口の中で使っても大丈夫な材料でできています

❺取り扱いや操作の難しい場合がある

身体の不自由な人や認知症の人が1人で使いこなすことは難しく、周りの介護サポートが必要になります

*歯磨き粉を自分で歯ブラシにつけられるかどうかが基準になります

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ポリグリップにも種類がある。でも基本的な効果はまったく同じ


現在ポリグリップは5種類の商品が発売されています(ここから先は画像クリックで商品詳細の確認ができるので、そこから購入も可能です)

色素香料が不使用の「新ポリグリップ無添加」

ミント味のする「新ポリグリップS」

歯ぐきへの刺激が少なめの「ポリグリップV」

残存歯と歯ぐきに優しい「新ポリグリップトータルプロテクション」

つけたい部分にピンポイントでぬれる「新ポリグリップ極細ノズル」



どれでも粘着効果は変わりません

そのため患者さんには一番スタンダードでどこの薬局でも購入できる
新ポリグリップ無添加

をおすすめしています

ちなみに「新」がついているのは2016にパッケージがリニューアルされたためで、今発売されているものは「新ポリグリップ」のみです


他の種類の入れ歯安定剤と比較。自分に合う安定剤の選び方!

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タイプは4つ。『クリーム』『クッション』『粉末』『テープ』

大きく4つの種類に分かれます

今回紹介しているポリグリップはクリームタイプに当てはまります

特徴を比較して表にしてみました!

タイプ クリーム   クッション   粉末(パウダー) テープ(シート)
粘着力
持続力 ✖︎
つけやすさ
剥がしやすさ
臭い あり あり なし なし
長期の使用 ✖︎
クリームタイプ【代表商品:ポリグリップ】

ポリグリップに代表されるクリームタイプ

粘着力に優れ、持続力や取り扱いのしやすさも持ち合わせている人気ナンバーワンのタイプです

反面その粘着力によるベタベタ感や剥がしにくさという欠点もあります

ポリグリップ

クッションタイプ(=パテタイプ)【代表商品:タフグリップ】

弾力があり、粘土のような材質です。

そのため、入れ歯がカパカパで歯ぐきと入れ歯の隙間が大きい場合でも接着することができます

剥がすときはペリペリと剥がれるためベタベタ感もありませんが、つけるときにうまく広がらず使い勝手は悪いです

入れ歯安定剤はあくまで補助的に使うもののため、明らかに合っていない入れ歯への長期使用は考えて作られていません

その中でもクッションタイプは歯ぐきや顎への負担が大きいことも事実です

タフグリップ

粉末タイプ(=パウダータイプ)【代表商品:ファストン、ポリグリップパウダー】

粉末をふりかけて使用します

粉状のため歯ぐきと入れ歯の隙間が大きい場合は、間を埋めることができず粘着効果は薄いです

接着力は弱く、一度の食事のたびに効果はきえます

ふりかけるだけなので操作は簡単です

ファストンには総入れ歯安定剤と書いてありますが、部分入れ歯でも問題ありません

ファストン

ポリグリップパウダー

テープタイプ(=シートタイプ)【代表商品:タッチコレクトⅡ(ツー)、シーボンド】

粘着力と持続力は劣ります
一回の食事ごとに取り替えが必要です。

貼り付けるだけなので、取り扱いは簡単です

ただしシートのサイズより入れ歯が大きいと、ハサミで切らなければいけません

タッチコレクトⅡのように吸収してなくなるタイプとシーボンドのように残るタイプがあります

周りではあまり使っている人はいません

タッチコレクトⅡ

シーボンド


安全で効果的な付け方とお手入れの方法

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1.入れ歯を綺麗にして乾燥させる

2.口の中を水で湿らせる

3.安定剤を入れ歯につける

入れ歯の内面(裏側)につけていきます

公式の説明書が一番わかりやすく書いてありますので引用します

上の総入れ歯への正しい付け方

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お米1粒の大きさを

真ん中と左右の奥歯の計3箇所につけます

下の総入れ歯への正しい付け方

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お米1粒の大きさを

左右の奥歯それぞれに計2箇所につけます

部分入れ歯への正しい付け方

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お米1粒の大きさを

歯のある場所の裏側につけます


左、右、真ん中のどこまで範囲があるかで

つける箇所が変わります

この場合は左と右に歯があるので2箇所つけています

ポイントは量と場所。自分なりの使い方をさぐる

これはあくまで基本的な使い方です


自分にとって快適なギリギリの量を探してみてください


もう少し粘着力が欲しい場合は、お米を2粒にすればよいですし

逆にくっつきすぎる場合はお米を半粒にしてみましょう


4.装着したら1分ほど噛みつづける

適切な装着時間

朝に付けたら長くても夜寝る前までです

食事のたびに綺麗にして、歯ぐきを1時間ほど休めるのがベストです

必ず寝るときははずしましょう

5.取り外し。入れ歯を取り出す

6.安定剤を洗い流し汚れをとる

入れ歯から完全に安定剤を拭き取る

いきなり水で洗い流してしまうと、ベタベタが強力になってしまいます

そのままティッシュでふきましょう

ガーゼでも紙ナプキンでもかまいません

乾燥した状態拭き取ること

がポイントです

簡単!とれない安定剤を除去する方法

消毒用エタノールを浸したティッシュやガーゼで、安定剤のついた入れ歯を拭き取ると楽に剥がすことができます

さらにそのあとで60℃ほどのお湯につけておくと完全に溶かすことができます


消毒用エタノールはボトルタイプよりスプレータイプが容易に使うことができます

口の中も口腔内用のガーゼで拭うと効果的です
アマゾンだと90枚入りで1000円くらい(送料込みで2000円)するので、コスト的にはあまりおすすめしません

7.水に入れて保管

コップにいれて水中に保管します

ポリデントを入れて、見えない汚れを取っている人は多い印象です

こんな症状の人にポリグリップはおすすめ

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初めて安定剤を使う人!

自分に合った安定剤を見つけたいけれど、種類がたくさんありすぎてわからない・・

入れ歯安定剤は自分に合わせた使い方を早く知ることが大切です


そのためには一番スタンダードなものを使って、合う合わないの基準を知ることが近道です

入れ歯安定剤は個人個人で微調整が必要になります


もう少し粘着した方がよい

とか

溶け出してきて不快

のように具体的な使用感にあわせて量や種類を調整していくと

自分だけの使い方ができるようになっていきます

ポリグリップ以外の入れ歯安定剤を使っている人!

繰り返しになりますが、自分に合った入れ歯安定剤を早く知ることが大切です

その意味では他のタイプと比べることもとても重要で

惜しまずにチャレンジしてみてください

ポリグリップをすでに使っている人!

使い方によっては快適になる可能性もあります

色々試してみましょう

ポイントは「安定剤を入れ歯につける」で説明したように

つける場所とつける量

です

歯医者に行けない人!

忙しく通院する時間のない人は一度試して見る価値はあります

また体が不自由な人も、適切な使用で症状が緩和します

ただし、飲み込みが弱い人や寝たきりの人の使用はおすすめできません


それでも困ったら歯医者がいます!

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強力に張り付き、絶対に溶けない。取り扱いも簡単。・・・そんな入れ歯安定剤はありません!


長い間くっついたままで、味も変わらず、ベタつかずにすぐ落とせておまけに操作は簡単


残念なことにそんな完璧な安定剤は今の所ありません


歯ぐきと入れ歯の隙間を小さくして、1回で使う安定剤の量を減らすことが

身体的にも経済的にも負担を減らすことになります


どうしても困ったときには歯医者がいます!


特に入れ歯がガタガタでクッションタイプ(=パテタイプ)を多めに使っている人は

一度歯科医院で診察をうけることをおすすめします


まとめ:使い方ひとつで毎日が快適に!




そもそも安定剤って使って大丈夫なの?


最初に話したように

歯医者さんの中には

入れ歯安定剤を使うことはよくない

とする先生もいます



でも実際は

歯医者に通うのって面倒臭い

ですし

適切な使用法で満足度が上がる

のであればそれは素晴らしいことじゃないですか?



実際に試してもらえば

使い方ひとつでこんなにも違うんだ

そう感じていただけると思います





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