今、あなたの大切なご家族に訪問歯科が必要な理由
介護の必要なご家族がいらっしゃる皆さん。
日々のご苦労、お疲れ様です。
少しずつ高齢化社会が進み、介護を必要とされる患者さんそして介護携わる人たちが日々増えています。
今、私には老人ホームで生活する90歳を超える祖母がおります。
長期入院、自宅介護を経て今の状況に落ち着きました。
20年以上前のある日、病気ひとつしたことのない祖母が肺炎で入院しました。
入院が長期に及びやっと治療が落ち着いた頃、
お見舞いに行った私は、祖母に関して初めてあることを知りました。
それは入れ歯を入れていること、でした。
理由は簡単で、食事中に外れているのを見たからです。
そしてその入れ歯が合わず痛そうに食べている姿がありました。
私はまだ学生で
入れ歯が不自由だろうなぁ、くらいにしか思いませんでした。
歯科大を卒業し歯科医になったとき、
祖母は口から食事をとることができなくなってしまいました。
いかに「食べる」ということが大切か。
そして訪問歯科の存在を知っていれば。
訪問歯科を知るきっかけ
ご家族の介護をされている皆さん。
自分のお父様お母様、奥様やご兄弟、
このような身近な人たちの口の中の状態を把握しているという人はいらしゃるでしょうか。
ほとんどいないことと思います。
脳梗塞のような麻痺の残る病気、
または認知症のように日常生活に支障をきたす病気を患い、
その治療がやっと落ち着いた頃、追い討ちをかけるように
口や歯の問題は発覚することが多いです。
食べる量が減った。
食べられない。
痛みを訴えている。
出血している。
歯が揺れている。
そんな症状が現れて初めて
歯科治療が必要なのではないか、と気がついたのではないでしょうか。
もしかしたら訴えることができるのはまだいいほうで
訴えることができずに、ひどい状態で周りが気づく
そういう場合も多々あります。
それまでの日々が忙しすぎて
とても口の中まで気が回らない、そんな方は多いです。
訪問歯科とは
何らかの理由で、通院できない。
その状態を解決するために訪問歯科という分野が存在します。
寝たきりの高齢者の方、歯科医院へ通院が困難な方を対象に自宅や施設、病院に伺って治療をする。
そして口の中のあらゆるトラブルを解決する。
それが訪問歯科です。
口の機能がその人の全身状態や生活に大きな影響を与える、ということが最近わかってきています。
入れ歯が痛ければ直す。
歯茎から出血があれば治療する。
揺れてるあれば必要に応じて抜糸する。
飲み込みが弱ければ訓練する。
訪問歯科医としての役割は少なくありません。
ご本人やご家族の意向を聞きながら、
患者さんに自分らしく生活してもらいたい。
私は10年以上訪問歯科診療に携わってきて
そう思っています。
病気が口の中の状態に影響する。
加えて、口の中の状態が全身の病気に影響する、ことが分かってきています。
その意味でも、生活の質を保つために歯科診療は必要だと考えられます。
訪問歯科診療でできること
いまはかなり技術や道具が進歩し、
外来診療とほぼ同等の医療を自宅で受けられるようになってきています。
例えば持ち運びのできるタービンと呼ばれる削る道具を自宅コンセントにつなぐと
寝たままでも歯を削ることができます。
レントゲンも持ち運びできるものがあり、画像もその場で確認することができます。
虫歯治療
歯周病治療
抜歯
レントゲン撮影
入れ歯の調整修理作成
飲み込みの検査訓練
訪問歯科という分野がもっと浸透してくれば
道具や技術の改革も加速的に進んでいくと思います。
この先も大切なご家族と会話し、食事するために
口や歯の症状は健常な人でさえ、
痛くなるまで放っておく人が多く見受けられます。
それが病気を患った人であれば、さらに後回しになりやすく
口の中の状態が悪くなってしまう傾向にあります。
もし今あなたの大切な御家族から口の中の症状の訴えが聞かれなかった場合でも、
一度御本人に確認し、できれば口の中を直接見てあげてください。
口の臭い
歯茎の腫れ
虫歯の有無
ムセの有無
歯の動揺（もし触れることが可能であれば）
これらを確認してあげてください。
これらに当てはまることがあれば
ケアマネージャーさんや（あれば行きつけの歯科医院）に一度相談してみてください。
インターネットで「訪問歯科、お住いの地域」で検索してもいいと思います。
歯は早めに予防すればするほど寿命が延びます。
痛み。
腫れ。
出血。
このような症状を治療するだけでも
訪問歯科を頼む大きな理由になると思います。
そしてその先には、大切な御家族がいつまでも
「好きなもの食べ、好きなもの飲み、笑って話す。」
ということに繋がります。
ぜひご家族に、歯の調子を確認してみてください。
