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介護と医療に関わるすべての人にむけた歯医者のブログ

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【歯医者が話す】口腔ケアの効果をわかりやすく解説します【目的あり】

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・口腔ケアとは?


・口腔ケアの効果を知りたい


こういった疑問に答えていきます。


想定読者:医療や介護に携わるすべてのひとたち


3分くらいで読み終わると思います。


■本記事の内容


この記事を書いているボクは、歯科医師になってから10年以上、高齢者や認知症患者さんの治療をしてきました。


”通院困難な人”を対象に口や喉の治療をしつつ、大学で”高齢者の歯科治療”を教えています。


ほぼ毎日、介護施設や精神病院、急性期病院、個人宅を訪問しています。


Twitterで情報発信しています。信頼の担保になれば嬉しいです。

『認知症の方への口腔ケアは命がけ。人間の噛む力は強烈で、体重と同じパワーをもっています。認知機能が低下して、全力で噛んだまま離さない場合がある。勤務初日、精神疾患をもつ方に指を噛みちぎられた衛生士さんの話を聞いたことも。口腔ケアは重要。でもまずは"自分の身体を守る"意識が最優先』




口腔ケアとは

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口腔ケアとは一言でいうと「口の中のお手入れ」です。


口の中のお手入れで、1番身近なものは歯磨きですよね。


口腔ケアと歯磨き(ブラッシング)は切り離して考えることはできません。口腔ケア=歯磨きといっても言い過ぎではありません。


歯磨きができれば、口腔ケアの80%はできているといっても問題ありません。


実はその歯磨き、1日3回食後に歯を磨くということが習慣になっている人は以外と少ないです。


お昼は歯を磨かない、という人は結構いますし酔っぱらって帰ってきたらそのまま寝てしまう、なんてことは誰にでもあるのではないでしょうか。


その結果、虫歯になったり歯周病になって、歯医者に通うことになってしまいます。



歯が揺れてきたり、歯が割れたりして歯を抜いたことのある人もきっといますよね。差し歯、入れ歯、ブリッジ、インプラント…


治療法には色々あって、きっとあなたの口の中にもひとつくらいは治療のあとがあるのではないでしょうか。


そして歯医者に通ったことのある人は、歯科医師や歯科衛生士さんからブラッシング指導をうけた記憶があるはずです。


それでも歯磨きを習慣にすることは難しく、しばらくすると多くの人がまた治療が必要になってしまいます。


口腔ケアが必要な理由

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健常な人の場合でもそうなのに、たとえば

・高齢で身体の不自由な人
・認知症の人
・脳の病気の後遺症で麻痺のある人


このような人たちにとって、自分で口の中を手入れすることはかなり難易度の高いことです。


周りで支える家族や介護スタッフの人たちにとっても、後回しになってしまいがちです。


その結果

・歯がグラグラする
・歯ぐきから出血する
・歯がなくなる
・口の中が悪臭すぎる

という状態になってしまいます。


人によっては病気になった後、あっという間に歯がボロボロになる場合もあります。


「多少出血しても大丈夫でしょ?」
「ボロボロのままだと何が悪いの?」
「みかけなんて気にしない」

中にはほとんど歯がなくなって、自分には関係のない話だと思う人もいるかもしれません。


それでも口腔ケアは必要なのです。言い換えると、歯磨きは必要なのです。


理由は、口の健康は全身の健康に深く関係しているからです。


口腔ケアで期待できる効果

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・虫歯の予防
・歯周病の予防
・唾液分泌の促進
・口臭の予防
・肺炎の予防
・心臓病のリスク軽減
・脳梗塞のリスク軽減
・糖尿病のリスク軽減
・口腔機能低下の予防


このように、たくさんあります。


虫歯の予防


まずは虫歯の予防効果があります。虫歯になると、歯が弱くなったり、割れやすくなります。


そのまま虫歯が進行すると、歯の全体が感染して痛みや腫れが続くようになります。

歯周病の予防


歯周病の予防になります。歯周病は歯ぐきの腫れや出血にはじまり、最終的には歯を支える骨がとけて歯が抜けてしまいます。


唾液分泌の促進


口の中に刺激を与えることで唾液が分泌されます。唾のことです。唾液は口を潤すだけでなく、飲み込みをスムーズにして消化をたすけたり、リゾチームと呼ばれる酵素でバイ菌をやっつけることができます。


口臭の予防


バイ菌を取り除き口の中をきれいにすることで口臭を抑えることができます。



肺炎の予防


肺炎、特に誤嚥性肺炎は口の中のバイ菌が肺の中へ侵入することで発症します。これは命に関わる病気です。


汚れを少なくすることで発病のリスクを減らすことになります。


心臓病のリスク軽減


歯周病菌は体内で血管を細くしたり、動脈硬化の原因となるため、心筋梗塞や狭心症を引き起こしやすくなります。


脳梗塞のリスク軽減


心臓病と同じ理由で脳梗塞の原因となります。


糖尿病のリスク軽減


歯周病菌はインスリン抵抗性といって、血糖のコントロールを妨害します。そのため歯周病の人は糖尿病になりやすく、どんどん状態を悪くしてしまいます。


口腔機能低下の予防


さいごは口腔機能の低下防止です。


口腔機能とは噛んだり、飲み込んだり(嚥下といいます)、発音したりする機能のことをいいます。口腔ケアにはその機能を正常に維持するための効果があります。


先に歯磨きができれば口腔ケアの80%はできたも同然!と言いましたが、オーバーにいっているわけではありません。残りの20%はこの「口腔機能の維持」が目的なのです。
>>参考:歯科医師の視点からみた”ゴックンの評価”。”むせ”からわかる対応手順。家族や施設で共有してほしい。


口腔ケアの目的:「口腔清掃」80%と「機能訓練」20%

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口腔ケアの目的


・口腔清掃

・機能訓練

つまり口腔ケアの目的は、歯や舌の汚れを口の中(口腔といいます)からとりのぞく「口腔清掃」と飲み込みや発音の機能低下を防ぐための「機能訓練」の2つであらわすことができます


最近は訪問歯科診療でおこなう、高齢や寝たきり、認知症の人への口腔ケアの重要性が少しづつ浸透してきています。

>>参考:訪問歯科衛生士の仕事内容をわかりやすく解説。
>>参考:歯科医師向け。訪問歯科の仕事内容とは?【アルバイトを迷っている先生へ】


「口腔ケアってなに?」「なんで口腔ケアするの?」て聞かれたらこう答える!

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少しだけ難しい言葉でいいますと

・口腔清掃は「器質的口腔ケア」

・機能訓練は「機能的口腔ケア」

と言い換えることができます。



器質的というのは、実際に道具を使って汚れをとる。つまり歯磨き、入れ歯を洗う、舌の汚れをおとすこと。


機能的というのは、舌や口の筋肉の運動、飲み込みや発音の訓練ことをいいます。



どんな難しい言葉をつかっても、さきほどお伝えしたように、口腔ケアは「口腔清掃」と「機能訓練」を目的としています。



ですのでもし「口腔ケアとは?」って聞かれることがあれば「歯磨き!あとは飲み込む機能のトレーニング」と答えてください。


「なんで口腔ケアするの?」と聞かれたら「虫歯や歯周病、あとは全身の病気を予防するため!」と自信を持って答えてください。


毎日の口腔ケアは命を守る

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口から美味しく食べるためには口の中を衛生的に保っている必要があり、それには「毎日の歯磨き」「口腔ケア」が一番重要です。


日々の歯磨きをがんばりつつ、歯科でチェックをうける、というスタンスがオススメです。


おすすめの歯磨き粉や保湿剤は歯科医院で使っているものが理想ですが、少し高いので、市販のものでもOKです。


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  • メディア: ヘルスケア&ケア用品




まずは磨く、保湿する、を意識することが大切です。


特に、高齢の方や認知症の方では、口の中をきれいにすることで肺炎や窒息の予防にもつながります。


道具をうまく利用しつつ、日々の生活の質を上げていきましょう。


【認知症の方への口腔ケア】
>>参考:【簡単なコツ】歯磨きできない認知症の人への対処法を解説します【嫌がる・拒否あり】



【災害時の口腔ケア】
>>参考:【不足します】災害時に必要な口腔ケア用品5選【防災グッズにいれておこう】


 
※ 医療関係者はぜひ訪問歯科に関わって欲しいです

高齢化が進み、日本では通院困難な患者さんの数が増加してきます。そのような人の歯を治療するのが訪問歯科です。


すこしでも興味を持っている歯科医師の先生や衛生士さんは、ぜひ一度「訪問歯科」にとびこんでみてください。

【衛生士さん向け】
>>参考:歯科衛生士さんに訪問歯科をおすすめする4つの理由。
>>参考:訪問歯科衛生士の仕事内容をわかりやすく解説。

【歯科医師の先生向け】
>>参考:歯科医師向け。訪問歯科の仕事内容とは?【アルバイトを迷っている先生へ】
>>参考:訪問歯科で働きたいけれど、求人が多すぎて迷っている歯科医師の先生へ。 おすすめの探し方。






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