自宅に歯医者がやってくる。「訪問歯科にできること」を伝えます。”対象者”や”対応できる症状”
身体が不自由だったり認知機能の低下によって外出が難しくなった人。
そんな人たちが歯の痛みや腫れをかかえてしまったとき、自宅に歯医者が来てくれる医療サービスがあることをご存知ですか?
そのサービスは「訪問歯科」と呼ばれます。
あまり聞き慣れない方もいると思います(20年以上前から存在はしています)。高齢化が進行していく世の中で今後訪問歯科の需要は増えていくと考えられます。
普段の生活では歯の痛みや腫れがあれば歯医者さんに駆け込むことができます。
食事を口から食べることが当たり前、飲み込むことが当たり前すぎて歯のトラブルで死ぬほど悩む(一晩冷やしたり痛み止めで凌ぐということはありえます)少ないですよね。
けれども、寝たきりの状態で歯が痛い、腫れた、入れ歯が合わない、飲み込めない・・そんな症状が出た時にどうしたらいいか迷いますよね。
自宅でいながら受けられる歯科治療お伝えしたいと思います。
自宅でどんな歯の治療ができるかが分かることで「寝たきりの人」「寝たきりの方を抱えている家族」「サポートする人たち(ケアマネージャーさんや介護士さんや看護師さんたち)」の 役に立てると嬉しいです。
是非参考にしてみてくださいね。
訪問歯科の対象者
訪問歯科診療の対象となる(利用できるひと)は” 通院困難な人 "です。
『認知症』『身体が不自由』『障害を持っている』『高齢で歩行困難』のような自分の力で歯医者さんに行くことができない人のことをいいます。
歯医者に行くのが面倒くさい、みたいな理由だけで呼ぶことはできません。
【自宅に歯医者】対応できる症状
歯を削ったり抜いたり詰めたりと、患者さんがが想像しうる普通の歯医者さんでできる診療は基本的には可能です。症状と診療内容に分けて書いてみました。
どちらでもどこか一つにでも当てはまれば自宅での歯科治療を受けることができます。
訪問歯科で対応できる症状一覧
- 歯が痛い
- 歯がかけた
- 歯に穴があいた
- 歯ぐきが腫れた
- 歯がグラグラする
- 銀歯が取れた
- 差し歯が取れた
- 入れ歯が壊れた
- 入れ歯が合わない
- 入れ歯をなくした
- ムセる
- 出血する
- 顎が外れた
【自宅に歯医者】対応できる診療内容
- 虫歯
- 抜歯
- 定期検診
- 歯石とり
- 歯周病(歯槽膿漏)
- 銀歯や差し歯の治療
- 入れ歯の作成調整修理
- 嚥下(飲み込み)
- レントゲン撮影
訪問歯科では対応の難しい(需要のない)もの
逆に訪問歯科で対応しにくい治療内容を上げておきます。
病院によっては対応可能なところもあるかもしれませんが、自宅で歯科診療を受ける方からの需要という意味でも今まであまり依頼を受けたことはありません
また下3つは保険が適用されない診療なので個人の強い要望があれば受けることは可能です
- 癌などの外科手術をともなうもの(大学病院に紹介することになります)
- ホワイトニング
- インプラント
- 矯正
まとめ
この記事を読んでくれている人は自分もしくは自分の大切な人が歯や口の悩みを抱えていて、それなのに外の歯医者さんに連れて行けない(通院困難)状況にある人だと思います。
そんな悩みを解決するために訪問歯科が存在するということを一人でも多くの人に知ってもらいたいです。
患者さん本人はもちろん周りの家族、ケアマネージャーさん、介護士さん、看護師さん、担当医、言語聴覚士さん、栄養士さん、理学療法士さん・・患者さんを取り巻くすべての人の誰か一人の脳味噌に訪問歯科という Wワードを埋め込んでおけば、いつか必ず役に立つことがあると感じています。
僕は10年以上訪問歯科診療に携わってきて、色々な介護の形を見てきました
入れ歯が合わずにご飯食べれない。でも外の歯医者さんには行けず途方にくれていたおばあちゃんとその家族がやっとの思いで訪問歯科を見つけてくれて、僕がいった当日に少し調整(歯ぐきの傷になっていた部分に入れ歯が強く当たらないように削った)しました。それだけですぐ食べられるようになって涙を流して喜んでくれたことがありました。
口から食べるということは生きることそのものです。
いつまでも笑っておいしくご飯を食べられるために、 どんな患者さんでも歯科治療をいられますように。
本人に関わるすべての人の痛みや悩みがなりますように。
※自分の力で通院できる人は訪問歯科のサービスを受けることはできません。(保険外なら可能)