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介護と医療に関わるすべての人にむけた歯医者のブログ

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認知症や麻痺のある患者さん。その入れ歯、ほんとうに必要ですか?

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入れ歯が合わないから食べられない?


認知症や麻痺のある患者さんのご家族の中には

入れ歯が合わないから食べられない

と悩みをもっている方がいます


私自身、歯科医師としてよく相談をうけます

(入れ歯を義歯ということもあります。まったく同じものなので、入れ歯に統一しています)

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原因は本当に入れ歯?

このような介護を必要とする人は

介護が必要な状態が原因で口の中が悪くなってしまった

ということが多いです

病気になる前はとても綺麗な歯だった人はたくさんいます


よくある症状は

入れ歯が合わない

歯が動いている

腫れている

があります


この中で今回は

入れ歯が合わない

について説明したいと思います



通院できる人と訪問歯科を必要とする人の違い

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通院できる人

あなたは、口の中にトラブルを感じたらどうしますか?

きっと歯医者さんに行って、治療しますよね

代金も自分で支払うことができますし、痛ければその都度通院することができます

気になる場所を具体的に説明することもできます

自分で日常生活をおくることのできる人にとっては当たり前かもしれません

訪問歯科を必要とする人

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これに対して介護を必要とする人は、自由に行動することが難しい人たちです

認知症の人の場合

治療の予約
治療した内容

を覚えていなかったり

進行すると

痛い場所
痛い事実

を忘れてしまいます


もっと重度になると

入れ歯が口に入れるものであること
口の中の食べ物をのみこむこと

さえも忘れてしまうのです



脳梗塞などの後遺症でマヒが残っている人も同様に

使うことが食べることにつながらない

ことがあります





認知症を少しだけ専門的な言葉で解説すると

正常に発達した知能が不可逆的に低下した病気

となります


不可逆的

つまりは

元には戻らない

ということです


家族にとってはかなりショックなことで

私も介護の必要な祖母がいますので、衝撃をうけました


入れ歯が使えるかは、ひとによる

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介護されているご家族に

入れ歯が合わないから、食べられない

という相談をうけるたびにお答えしていることは

口の中の状況によっては、入れ歯を使えない可能性があること

です


入れ歯を作ることはできます

でも入れ歯はただの道具です


入れ歯をみて触っても、一体なんの道具なのかわからない患者さんもいます

装着しても感覚のない患者さんもいます



このような介護を必要とする人たちが全員、入れ歯を使うことはできるでしょうか?


その答えは

使える人も使えない人もいる

です

身も蓋もありません


患者さんそれぞれが違うのです


つまり

ひとりひとりにカスタマイズする必要がある

ということです。


入れ歯は噛むための道具です

使いこなすことができなければ、使えていないと同じです


噛んだあと飲み込める?

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さらに話を進めると、噛んだ後には

飲み込む

ことが必要です

この飲み込む作業のことを専門的には

嚥下(えんげ)

といいます

嚥下するためには、飲み込めるだけの筋肉が必要です

筋肉に命令する正常な神経回路も必要です

そしてその命令をしているのは脳みそです


この一連の流れのどこかにエラーがあると

たとえ口の中で食べ物を噛んだとしても飲み込むことができません


そして認知症の人や麻痺のある人は、脳に障害をもっていることが多いのです


つまり

入れ歯を入れることが、必ずしも食べられるようになるということではありません

とにかく栄養!

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一番大切なことは

栄養をとること

です


食事を柔らかしたり、水分にとろみをつける


そして体の状態を把握し、体調の変化にアンテナをはっていくしかありません

訪問歯科を選ぶ基準

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入れ歯作製の依頼をしたときに、2つ返事で引き受けるのではなく


なぜ入れ歯がほしいのか

本当に使うことができるのか

使うことのリスクは何があるか

栄養はどのようにとるか


を診断してから治療するかどうかが

訪問歯科医師を選ぶ基準になります



歯科医師の中でもまだまだ知識が共有されていません


口だけではなく全身を診ることができる歯医者がこの先必要になってきます




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