訪問歯科。受診までの流れが丸わかり。ポイントをわかりやすく説明。
訪問歯科というサービスを存じでしょうか。
体が不自由などの理由で通院できない人のために、自宅にいながら歯の治療を行うことのできるサービスです。
その訪問歯科への依頼から受診までの流れ、気をつけるポイントを紹介したいと思います。
「口から食べる」という大切なこと。
私には介護を必要とする祖母がおります。
今は老人ホームに入居していて、寝たきりでほとんど目覚めることはありません。
認知症を患い、私が誰かすらわからなくなりました。
口から食べることができず、口に触れるものといえばほんの少しの水分だけです。
栄養は胃ろうと呼ばれる直接胃に栄養を送り込む方法でとっています。
以前は入れ歯を使っていましたが、時間と共に飲み込む行為が難しくなっていきました。
それにあわせて食べ物の形態が柔らかいものへと変わっていき、自然と入れ歯も使わなくなりました。
口から食べるということは、生命を維持するという意味だけではありません。
味を感じることで満足感を得られたり、唾液が出ることで口の中の衛生状態を保つことでもあります。
生活の質に直結するといっても大げさではないと思います。
介護を必要とされるご家族をお持ちのみなさん。
一度、大切なご家族の口の中を見てあげてください。
そして何か気づいたことや訴えがあるとき、むしろ何事もないときにこそ、訪問歯科の依頼をぜひとも考えてみてください。
訪問歯科への依頼から受診まで、その流れとポイントを紹介したいと思います。
受診までの流れ
依頼する
↓
連絡をまつ
↓
検診を受ける
↓
診療申し込みをする
↓
診療開始
※自宅、病院、老親ホーム、その他の施設全てに共通です。
チェックするポイント
- ・依頼先を探す。
- ・病院までの距離を確認する。
- ・病歴や症状を確認する。
- ・検診に立ち会う。
- ・症状に対する治療方針を確認する。
- ・頻度、回数、期間を確認する。
- ・費用を確認する。
- ・訪問歯科医や歯科衛生士を観察する。
- ・申し込み書を読み込む。
- ・診療内容についての報告書を月に一度もらう。
「依頼する」ときのポイント
・依頼先を探す。
ケアマネージャーさんや地域包括センター、かかりつけの歯医者さんへ訪問歯科診療を希望する旨を伝えてください。
繋がりがない場合はインターネットで「市町村名 訪問歯科」で検索してみてください。
・病院までの距離を確認する。
診療を受ける場所の半径16km以内に訪問歯科の歯科医院がなければ受診することはできません。
下の図は、東京駅を中心にした16kmの範囲です。かなり広いです。
車の場合、混み具合によって20〜60分くらいでしょうか。
「連絡を待つ」ときのポイント
・病歴や症状を確認する。
事前に電話などで今までの病歴や現在の症状などを聞かれる場合があります。
より正確な情報で治療の精度があがります。
「検診を受ける」ときのポイント
・検診に立ち会う。
初回の検診の日時が決まったら最初の検診にはなるべく立ち会うようにしてください。
患者さんは日によって状態が変化します。
そのため検診をしているときのい状態と普段の状態が違うことがあります。
ご家族が代わりに伝えてあげることで分かることも多くあります。
初めて診察する歯科医師も、一つでも多くの情報を求めています。
どこが痛いのか、どのくらい前からかのような、症状をしっかりと伝えるといいと思います。
併せて、ご家族がどうしたいかというような要望も伝えてみてください。
・症状に対する治療方針を確認する。
どのような治療を行うのか歯科医師の説明を聞いてみてください。
飲んでいる薬や全身状態によって、治療方法やプランが変わることがあります。
例えば血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合、揺れている歯があっても積極的に抜くことができな いことがあり、保存的な処置を優先することもあります。
飲み込む力が弱い場合、削らない場合もあります。歯を削る時に出る水のよって誤嚥のリスクがあがるからです。
・頻度、回数、期間を確認する。
入れ歯や虫歯などの治療がある場合、週に一度の診療頻度になることが多いです。
状態によりはっきりとした回数は言えない場合もありますが、それでもおおよそで聞いておくといいと思います。
期間もあわせて聞いておくと、自分の予定も合わせやすいと思います。
治療と並行して、口腔ケアを勧められる場合もあります。
自分の歯の保存、感染の防止、誤嚥性肺炎の防止の効果があります。
この場合は今後、週に一度や月に一度のように定期的な訪問診療を受けることになります。
・費用を確認する。
訪問歯科診療は健康保険や介護保険の負担割合に応じた費用がかかります。
障害者手帳をお持ちの場合や生活保護を受給している場合の医療費は無料です。
診療内容によって費用は異なり、1ヶ月ごとの精算になります。
お持ちの保険証の負担割合を事前に確認しておくと見積もりがスムーズです。
・訪問歯科医や歯科衛生士を観察する。
言葉使いや雰囲から、自分やご家族と相性が合いそうかどうかを考えてみましょう。
場合によっては毎週部屋に入れる人たちですから、相性は大切です。
訪問歯科医院はひとつだけではありませんから、仮に合わないと思ったら無理に続ける必要はありません。
説明がわかりやすいか、清潔感はあるかのような医療に関わる部分はもちろんチェックしてみてください。
「診療申し込みをする」ときのポイント
・申し込み書を読み込む。
治療の意味や方針が書いてある説明文がついてくると思います。
細かく記載されていますが、頑張ってよく読んでおいてください。
・診療内容についての報告書を月に一度もらう。
そんな歯科医師はいないとは思いますが、認知症の患者さんに対して高額の診療契約を結んだり、必要以上の診療をおこなったりすることは容易にできてしまいます。
毎回診療に立ち会うことが安心ですが、それが難しい人も多いと思います。
そのため月に一度、診療の内容を文書で報告してもらいましょう。これは義務にもなっているので、快く引き受けるはずです。
以上が診療までの流れとチェックするポイントになります。
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たくさんの歯医者の中から、よい歯医者を探しあてる。
まだ馴染みのうすい訪問歯科ですが、 歯科業界の中では急速に浸透してきています。
今では全国で2万件の歯科医院が訪問歯科をおこなってなっていると言われています。
数が多い文大切なご家族に会う歯科医院を見つけることは 、少し難しいことかも知りません。
診療までの流れを知っておくことで、ご家族
にとっての最適な歯医者さんを探すまでの時間を短縮できると思います。
一度検診してもらうことはとても大事。
診療までの流れをスムーズにすることでご家族への身体的なご負担や、介護をする人たちの精神的な負担を 少しでも減らすことができると思います。
口の機能は「生きる」ということだけではなく、「話す」「味わう」ような楽しみを感じるための大切な役目を持ちます。
いつまでも楽しみのある生活をするために、ぜひ早めの予防を考えてみてください。