訪問歯科。何人で家にやってくるの?
こんにちは。
しろたぬです。
長年、訪問歯科診療に携わり、気づいたことや思ったことを記事にしています。
ご存知の通り今日本は高齢化社会を迎え、 今後訪問歯科診療の人数は増えていくと考えられます。
今回は実際に訪問歯科が自宅にくるときの流れ、準備することを述べたいと思います。
大切なご家族に訪問歯科が必要になったとき、 歯医者を中心とした医療チームが自宅や施設に伺うことができます。
けれども、いくら医療行為のためといえど、他人を家に上げること多少なりとも抵抗のある人はいるのではないでしょうか。
ましてやご家族が仕事や用事などの理由で同席できず、患者さん1人で受診する場合も考えなくてはなりません。
そのときに準備するものや、どういう体勢で来るのかなど 、知っておくと便利な情報を述べていきたいと思います。
何人でやってくる?
「歯科医師」「衛生士」「運転兼事務方」の3人体制で伺うことが多いです。
病院によっては歯科医師と衛生士の2人で訪問するところもあります。
治療が落ち着いてくると、口腔ケアとメンテナンスのため衛生士のみで訪問する場合もあります。
3人で訪問するのはそれぞれ以下の役割があります。
・歯科医師は治療と説明
・歯科衛生士は口腔ケアと説明
・事務員は機材設置、片付けと運転。
役割分担することで効率的に診療することができます。
事前に準備するもの。
初めての場合は医療保険証、介護保険証、薬手帳を用意してください。
内容に変更があったときは、その都度伝えるようにしてください。
薬によっては、歯科治療と相性が悪いものがあります。
使う機材(歯を削るもの)などはコンセントをお借りすることがあります。
治療費(外来との比較)
値段は治療によってい違いますが、全て保険適応でできるため、通院での診療と比較して1000〜3000円ほど(一度のつき)費用がかかります。
訪問歯科の診療内容で一番割合の高い入れ歯(義歯)については以前のエントリーを参考にしてください。
治療時間
1回の診療につき20分ほどです。
患者さんの体調や持病による負担を考えて、さらに短くなることもあります。
特に寝たきりの場合は患者さんの負担が大きいため、治療を細かく分けておこないます。
診療回数の目安
継続的に入れ歯や虫歯の治療が必要の場合、毎週訪問します。
定期的なメンテナンスに移行した場合は隔週〜半年に一度で変動します。
この間隔は患者さんの歯の状態によります。
綺麗であればあるほど、清潔であればあるほど間隔は長くなります。
診療期間
入れ歯作製の場合は1ヶ月〜1ヶ月半、診療回数にして4〜6回かかります。
簡単な虫歯の場合は1〜3本を一度に治療することが多いです。
簡単な虫歯とは神経まで到達していないものです。
簡単かどうかは診察してみないとわかりませんが、痛みがあったり、歯の周りが腫れていたしているときは、難しい虫歯になる可能性があります。
ですので、虫歯の本数が診療回数と考えておけばよいです。
難しい(神経まで到達した)虫歯は、神経の感染がなくなるまで毎週治療します。
目安としては1回〜4回くらいです。
歯周病治療は、定期的な診察が必要となります。
重症化させないためには、一定間隔の経過観察が必要です。
主に衛生士が治療することもあります。
できること
普通の街の歯医者さんに通うような治療は全て可能です。
もちろん保険適応です。
ただし患者さんの体調や病気によっては抜歯のような出血を伴う治療ができないことがあります。
むしろ歯科医師側としては、患者さんのリスクを判断して「できない治療をできない」と説明する知識と技術が必要です。
まとめ
これからの時代、なるべく自分の歯を残し、自分の歯を使って食べるということが重要になってきます。
歯を失う原因の多くは歯周病です。
なるべく長く自分の方を保存するため、歯周病への予防がとても大切になってきます。
歯周病の一番の予防方法は日々の歯ブラシです。
体が元気な方でも、酔っ払った時にそのまま寝てしまったりとか歯を磨かない経験があると思います。
体が不自由になってくると、尚更歯磨きの優先順位が落ちてきます。
その結果歯がグラグラしてきて、歯の寿命が短くなってしまいます。
皆さん子供の時に、 親から歯を磨きなさいと言われて、 うるさいなあと思った経験があると思います。
大人になってまで歯を磨きなさいと言われるのは、尚更 尚更うるさいことだと思いますが、 何歳になってもむしろ年を重ねるごとに歯磨きの重要性は増していきます。
今度はあなたが自分の親にしっかり歯磨きなさいと言ってあげる番です。
訪問歯科をお願いする際、これらを理解しているとスムーズに診療を進めることができると思います。