訪問歯科未経験の歯科医師に訪問歯科をオススメする理由【ブランクありもOK】
「未経験」や「ブランク」が理由で、「訪問歯科へのチャレンジ」を不安に思う歯科医師の先生へ。
・ブランクや未経験でも訪問歯科ってできるのかな
・技術的に不安なのだけど...
・事前に知っておくと便利なことがあれば教えてほしい...
本記事ではこういった疑問にこたえます。
■本記事の内容
この記事を書いているボクは、歯科医師です。
これまで10年以上ほぼ毎日、介護施設や精神病院、急性期病院、個人宅を訪問して高齢者や認知症患者さんの治療をしてきました。
大学で”高齢者の歯科治療”を教えています。専門は「摂食嚥下」です。
こういった経験から語ります。
Twitterで情報発信しているので、信頼の担保になれば嬉しいです。
介護の現場での歯磨きで1番大切なことは丁寧に磨く、うまく磨く、頻繁に磨く…ではなく、口の中の水分を回収すること。
— しろたぬ@歯の人☘お豆腐メンタル (@shirotanu_dds) 2020年8月18日
こすり落とした細菌や唾液を口の中に残すと肺炎のリスクが上がる。歯を磨く前に回収方法を決めるのは大事。もし回収が見込めないときは軽めの歯磨きにとどめるのも良質な判断です
『介護の現場での歯磨きで1番大切なことは丁寧に磨く、うまく磨く、頻繁に磨く…ではなく、口の中の水分を回収すること。こすり落とした細菌や唾液を口の中に残すと肺炎のリスクが上がる。歯を磨く前に回収方法を決めるのは大事。もし回収が見込めないときは軽めの歯磨きにとどめるのも良質な判断です』
訪問歯科未経験の先生に訪問歯科をオススメする理由【ブランクありもOK】
未経験の先生に訪問歯科をオススメする理由は5つあります。
①:大きな主訴は一般歯科と変わらない
②:今までの得意分野を活かすことができる
③:事前に情報収集できる
④:経験が積める【誰でも最初は未経験】
⑤:これから需要が増える
ひとつずつ深掘りしていきます。
未経験の先生に訪問歯科をオススメする理由①:大きな主訴は一般診療と変わらない
訪問歯科の基本的に大きな主訴は一般診療と変わりません。
なぜなら人間の口のトラブルは、通院できる人(一般歯科)と通院できない人(訪問歯科)との間に決定的な違いはないからです。
歯が痛い、歯が揺れている、歯茎が腫れた、歯茎から出血する、入れ歯が痛い、入れ歯が割れた...のようなトラブルがほとんどです。
未経験の先生に訪問歯科をオススメする理由②:今までの得意分野を活かすことができる
今までやってきた得意分野を活かすことができます。
治療自体は一般診療の内容と変わらないため、今までやってきた治療をそのまま活かすことができます。
保存、補綴、外科のように一般診療で身につけたらスキルは必ず役に立ちます。
特に義歯や外科の得意な先生は重宝されます。
未経験の先生に訪問歯科をオススメする理由③:事前に情報収集できる
インターネットや文献などで事前に情報収集できるのはかなり大きいです。
あまり知らない分野でも今はいろいろなツールを利用して調べることができます。
「訪問歯科 仕事内容」「訪問歯科 必要性」などで検索すると山ほど出てきます。
>>参考:【歯科医師向け】訪問歯科の仕事内容を解説します【これからニーズあり】
未経験の先生に訪問歯科をオススメする理由④:経験が積める【誰でも最初は未経験】
チャレンジすることで経験が積めるということも大きな利点です。
何事も一歩踏み出してみなければ何も経験できません。
急に訪問歯科にチャレンジするのが怖いという人は、まずは前述した「情報集める」というアンテナだけ貼っておくだけでも大きな進歩です。
みんなイチからスタートしています。安心してください。
未経験の先生に訪問歯科をオススメする理由⑤:これから需要のある分野
訪問歯科はこれから需要のある分野です。日本の高齢化が進みます。
事実、2020年の時点で介護の必要なつまり通院が難しい人は日本に700万人ほどいます。
訪問歯科を必要としている患者さんは多いです。
以上5つが未経験やブランクありでも訪問歯科をおすすめする理由です。
けっこう食わず嫌いの所があったりしませんか?
よくある質問:訪問歯科を始めるデメリットはないの?
とはいえ、メリットがあればデメリットがあります。
当然、訪問歯科にはデメリットもあります。
次の4つに集約されます。
・人間関係が密
・大量の書類記入
・腰痛になりやすい
訪問歯科の詳しいデメリットは【訪問歯科のデメリット】非常勤(アルバイト)を検討している歯科医師の先生へで解説しています。
実際は、やってみないと本当に自分にとってデメリットかどうか分かりません。
みんな最初は初心者です。何事もチャレンジしてみることが大切です。
事前に知っておくと便利なこと【不安を解消】
いくらチャレンジをすると言ってもあえて無防備で突っ込んで行く必要はありません。
前に知っておくと良いことは頭にインプットしておいて損はありません。
有病者・嚥下・口腔ケア・介護【訪問歯科特有の分野を知る】
訪問歯科では有病者の歯科治療、摂食嚥下、口腔ケア、介護の視点、ここら辺は一般歯科とは違うところです。
言い換えると、このような訪問歯科特有の分野みたいなところに不安に感じている先生も多いと思います。
不安を少しでも回収するために、事前に知識をインプットすることは有効です。
例えばワーファリンを飲んでいる人の抜歯の基準、透析をしている人の対応、飲み込みの悪い人の嚥下訓練などの知識は勉強しておくと損はないはずです。
有病者治療、摂食嚥下、口腔ケアと介護で、それぞれおすすめの入門書をあげておきます。
✔︎ 【オススメの入門書】
■有病者治療:「歯科チェアサイドマニュアル 有病者はこう診る 全身疾患のある患者が来院したら」
歯科診療でよく遭遇する全身疾患のほとんどを網羅しています。
医師が監修しているので説得力もあります。
歯科チェアサイドマニュアル 有病者はこう診る 全身疾患のある患者が来院したら
- 作者:和田健
- 発売日: 2016/07/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
■摂食嚥下:「嚥下障害ポケットマニュアル 第4版」
摂食嚥下の診療内容をつかむための良書です。
少し専門的かもしれませんが、その名の通り白衣のポケットに入るので、診療しつつ確認することができます。
- 作者:聖隷嚥下チーム
- 発売日: 2018/09/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
■口腔ケア・介護:「介護のための口腔ケア」
口腔ケアを介護の視点からわかりやすく書いています。
図も多いので、イメージしやすいです。
- 作者:菊谷 武
- 発売日: 2008/10/29
- メディア: 単行本
人間関係が肝【1日中、密室です】
訪問歯科では人間関係がキモです。
これは治療とは全く関係ないところなんですけど、すごく重要です。
なぜなら訪問歯科のチームは2〜3人の少人数で、 一日中同じメンバーで一緒に過ごすことになります。
チーム人間関係が良好であれば楽しい時間ですが、人間関係が悪いと逃げ場がないので、地獄そのものです。
雰囲気は仕事に直結します。
お互いを尊重しつつ、仕事することが大切です。
大量の書類
書類が多いのは訪問歯科の特徴です。
患者さんだけではなく、家族や行政、介護スタッフに向けた書類作成をおこないます。
パソコンで打ち込む場合もあれば手書きをする書類もあります
最初はどんな書類をどのように変えていいかわかりにくいですが、基本的な流れを覚えてしまうと迷うことはありません。
ですが、一般歯科とは比べ物ならないぐらい書類を書くということは頭に入れておきましょう。
腕や目、腰のケアは大切です。
まとめ:チャレンジして、動きつつ考える。
今回の記事をまとめます。
✔︎ 【未経験の先生に訪問歯科をオススメする理由】
①:大きな主訴は一般歯科と変わらない
②:今までの得意分野を活かすことができる
③:事前に情報収集できる
④:経験が積める【誰でも最初は未経験】
⑤:これから需要が増える
なにごとも最初は誰でも初心者です。
そして少しでも動いてみなければ何も分かりません。
僕はもともと障害者や高齢者の摂食嚥下を専門にしていて、それをきっかけに訪問歯科の世界に飛び込みました。
そこから徐々に入れ歯の調整や作製は得意になりましたし、血が止まりにくい人の歯を抜くといった経験を積んできたという感じです。
このように比較的得意なところから広げていくことができるので、そういう視点からでも訪問歯科はお勧めです。
このページを見た人は訪問歯科に少しでも興味があると思うので、ぜひ考えてつつ動いてみてください。
今回は以上です!
✔︎ 【訪問歯科の仕事内容】
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